会報7号 H28/5/10
‐私たち支援者の日々‐
子供の身体や気持ちの状態は、日常において変動しては安定しそれを繰り返していきます。1日の学校を通してのスケジュールにも変化がありそこでの影響も少なくありません。生活の環境から外傷・病気を含め、仲間との交流、送迎や乗車下車における状況、そして持ち物の保持など、支援者は確認へと項目が立ち上ります。
これ等に加え、時々変わる子供の感情(喜怒哀楽)とグループ支援においても、日常的な連絡の徹底・打ち合わせと組織内で確認が必要となります。追われる日常ではありますが、支援者は、新年度には低学年の利用者と向き合うことになります。学校とはちがう環境、家族に戻らない時間での利用者の関係づくりは、緊張感とマンネリを乗り越えていかなければなりません。
≪平成27年クリスマス会、まち活参加、送別会≫
・≪クリスマス会≫は今回も日野市平山の地域センターを利用して行いました。「おにぎりコロリ」はご飯とふりかけを丸いケースに入れ振ると出来上がります。参加利用者はたくさん作りました。昨年度より利用者の自由な参加度を増した感があります。形式にとらわれず利用者・家族が楽しめる会になってきたようです。
・≪まち活≫は、今回2回目の参加であります。参加NPO団体も増え、日野市長の挨拶も含めてこの企画が地域に定着しつつある状態を感じ帰路につきました。「就活」「婚活」は聞きなれてきましたが、「まち活」が地域を巻き込む時期に差し掛かっている気がいたします。
・平成28年3月31日をもって「つきのおあしす」初めての卒業者を2名迎えました。
≪送別会≫は3月25日にみんなでお祝いしました。2名の卒業者の前で、複数の多くの利用者が自主的に(お別れ会のスケジュールにない)卒業する‐お別れの挨拶‐をしました。Aさんが最初に挨拶するとBさんCさん自分の言葉で立脚して立派な挨拶でした。この子達にエンパワーメント力が十分にあることが感じられました。
≪2周年(つきのおあしす)を顧みての放課後等デイサービス≫
■事業の運営と自治体加算‐
今回の自治体の開設資金援助対応は、当市地域に放課後等デイサービス事業化に大きくはずみをつけました。
今後、当制度について利用者の地域実態把握が求められます。子供の障害の程度(重度知的障害や強度自閉症合併障害)に応じたサービスが提供できる環境づくりのための財源加算があるならば、職員定着と支援力をアップさせます。また、支援の充実・事業の柔軟性および定着化・支援職員の定着化に、大きく貢献することは間違いありません。一定の事業者数が利用ニーズと合致した後は、量⇒質への援助を地域自治体へ求めたい加算項目です。
■利用者の選択制と小地域の制度特色において‐
小地域での利用と家族による選択によって、放課後等デイサービスは他福祉サービスに見られない同種サービス利用の併用が多くあります。10名定員の居場所の長所がレスパイト機能の短所になる(小地域そのものの限界)にもなっているようです。利用者の業者における選択の自由や児童利用者の様々な用件による自由度は、供給からサービス主体としての措置時代に見られない事業者運営の覚悟と対応力が求められています。レスパイト利用の普遍的利用と居場所づくりの定着の一体的支援体制を創る自治体等々の環境作りは、契約における支援体制を安定化させ、職員の支援力と定着を機能させます。そして、小地域通所と利用者の事業者選択に筋道を作る事にもなります。
意思決定支援-そのⅡ
≪サービスである支援≫
(福祉)支援は政策・制度・直接支援を通して現在ほとんどが契約によって行われています。利用者に応じた公的提供サービスであり、それぞれの支援段階で連続して(社会福祉政策⇔福祉制度⇔福祉支援)が活用され、意思決定支援についても固有のニーズを確認しつつ現場支援を行っているのが現状であるかと思います。私たちの直接支援の場合、コミュニケーション理解におけるグレーゾーンのジレンマが存在します。アセスメントづくりから始まる、押さえておくべき基本支援の方向をしっかり把握することで本人の意思理解へ接近できます。支援者に必要な資質・取組であり、この部分の意思の確認は「支援された決定」、そしてそれに連続した「支援による代行」支援が現実には求められています。自己決定から代行決定のゾーンには、利用者の意思を支援者による「障害をより正確に理解する」介入支援と記録からの振り返りが大切です。
≪代行決定と関係者と制度≫
支援を受けた決定に「権利」があります。制度利用および制度内容における判断は、児童の場合、家族がその権利を代行決定してゆくことが行われています。そうすることがもっとも安心・安寧で本人を理解した関わりでもあります。契約による福祉支援において、児童から青年期というような生涯に関わり、且つ親亡き後を想定した金銭管理する支援体制として、日常生活自立支援(地域権利擁護)制度があります。今後、親御さんの独立性を視野に入れ、ニーズに応じた地域支援バックアップ等の質が求められます。また、(未)成年後見制度は、家族等関係者にとっても福祉的支援サービスの「権利」を発展させていくと思います。
横浜市においては、自立生活アシスタント、後見的支援アシスタントはすでに地域区域ごとに配置され、意思決定支援体制として確立されています。年月を重ねることによって、ニーズに対する支援の対応や研修による質の向上も目指されています。
≪事業者と代行支援≫
今、事業者は公的な査察・検査でコンプライアンスや支援計画・記録の検証を受けることで、福祉事業体としての適格性を図られています。地域・利用関係者・当事者によるダイレクトペイメント(事業者の代理受領‐当事者主義)を主旨とする事業の透明性が強く求められています。福祉支援の基本が意思尊重支援であることを明らかにしています。
「支援された自己決定」は支援者としての利用者への役割であります。併せて、重要な支援は「意思決定の困難な障害、児童期、老年末期」における「代行決定」の在り方です。
放課後等デイサービス事業の増加の中で、障害の程度や利用する側(保護者)の選ぶ権利として、様々な利用者像が存在してくると思われます。放課後等デイサービスの親族や相談支援者は、利用者の「代行決定」が帰属する隣人である適正な表現とニーズ選択が肝要です。「支援による自律」に連続する「代行決定」は、未成年の保護者等の「代行」が現実的には不可欠であるであるためです。
この放課後等デイサービスを利用する保護者・家族の「小地域」と「選択する自由」は、「支援された決定」と「代行決定」の連続性をもつ英法2005「意思決定法」からの「最善の利益」が参考になります。この「最善の利益」(英・意思決定法2005)は、自己決定を想定した代行決定として理解され現場支援にも参考になります。法の下、代行決定はこれを遵守することが必要であり、意思決定そのものを保障することになります。
*「支援された決定」
英国の試み‐「支援された決定モデル」知的障害者の組織VIAは「選択」と「コントロール」を重点化し、ラルフの「コミュニケーションブック」を当事者が持ちあるく。➀決定をすべての人が係るプロセスとしてみること➁個人を選択や決定に常に関わらせること➂決定を援助するに際しては、その個人の援助者を関わらせていくこと➃創造的で効果的なコミュニケーションの方法を日常的に用いていくこと➄単純で適切な言葉を使い、利用しやすい情報・決定を行うために環境を作ること等々
*「最善の利益」基準(英2005・意思決定法)
➀先入観の排除―最善の利益を決定するに際して、単に本人の年齢や見た目、あるいは状態や振る舞いといったことのみに基づいて決定してはならない
➁検討すべき諸事項―決定する者は、関連するすべての事情を考慮しなければならない
➂意思決定能力の回復・獲得可能性―決定する者は、問題になっている事柄に関してその本人が将来の時点で決定能力を有することになる見込みがあるかどうか、またかかる見込みがあるならばそれはいつごろになりそうかを検討しなければならない
➃本人の参画の促進―決定する者は、最大現事項可能な範囲で、その本人のためになされる行為やその本人に係る決定にその本人ができるかぎり参画すること…
➄本人の希望や気持ちの探求―決定する者は最大限確認できる範囲で、以下の諸事項を考慮しなければならない。Aその本人の過去、現在の希望と気持ち、Bその本人が、意思能力があったとすればその決定に影響を及ぼしたであろう信念た価値…
➅相談‐決定する者は…相談することが適切であるならば、考慮にいれなければならないA当該の事項もしくはそれに類する事項について相談すべきものとして本人から指名去れる者、B本人のケアにあたっている者もしくは本人の福祉に関心を持っている者、C本人によって永続的代理権を付与されている者D裁判所によって任命された代理人
(秋元美世文献参照)
会報掲載は次号以降、必要な時期に再掲載してゆきたいと思います。
今後ともご支援ご協力よろしくお願いいたします。
NPOあるく・自律を目指す会